Other art works and projects.
meta-species
2011
展覧会:GARELIE Malle
会期:2011年8月2日~7日
metaspecies
ヨーロッパに自生する蜂蘭:Bee Orchidと呼ばれるOphrys Apiferaは、一種類の特定の雄蜂を呼び寄せるために、雌蜂に見事な擬態をします。その自生地を訪れ、植物と昆虫の間に生きるようなこの美しい植物に魅了されつつ生物の種について考察して制作したシリーズがmetaspeciesです。本物の蜂蘭の擬態の実態の不思議さを、そのままの形を忠実に再現した標本で表現、さらに起こりえそうな様々な架空の擬態の姿も標本で表現しました。
Mutant
2012
展覧会:3331 Arts Chiyoda内 RENSEI Print Park
会期:2012年5月10日~20日
Mutant
江戸時代、未だ遺伝の仕組みなどが解明される遥か前に、人々は自然交配や、そこから生まれる
突然変異を巧みに利用した変化朝顔と呼ばれる、一風変わった朝顔を栽培する園芸文化を育みました。
この朝顔に見えない朝顔、柄や色のバリエーションや、雌しべや雄しべまでも花弁に変えて作られた
形など、独特の美意識として片付ける事のできない深淵な生命との関係を感じさせられます。この
シリーズでは、その多様な形態や色形のバリエーションのサンプルや、架空の突然変異の標本を一同に
展示し、遺伝や突然変異の作り出すバリエーションから個体についての制作を行いました。
ヘッディング (小)
Message
2013
展覧会:中之条ビエンナーレ 群馬県中之条町六合地区・赤岩/湯本家にて
会期:2013年9月13日~10月14日
message 絶滅シタ野生蘭・1830年代ニ作ラレタ植物標本ノ野草ノ花々・絶滅トノ距離
群馬県中之条町の重要伝統建築物群の中でも一番古い歴史を持つ湯本家には、1830年代に制作された
とみられる植物の押し葉標本が残されています。薬草の学習のために親子によって作られたこの標本の
持つ歴史と物語に元に制作したシリーズです。3つのパーツで構成されるこのシリーズでは、まず公開
された事の無かった標本の画像を牧野標本館のご協力でデータ化を行い、その80種類の画像を一同に
編集、そのかつての植物の花々の持っていた色を再現した標本とともに展示。また標本の植物は全て現存
していたのに対し、すでに群馬県で昨年までに自然絶滅が確認された5種の蘭を標本にした展示、もう一つ
は、押し葉標本のレプリカを使った空間インスタレーションで構成されています。
Symbiosis
2015
展覧会:中之条ビエンナーレ 群馬県中之条町六合地区・赤岩/湯本家にて
会期:2015年9月12日~10月12日
2013年のプロジェクトに続き、江戸時代から伝わる薬草標本をモチーフに制作を展開。新たに、その効能について調べた新しい標本を展示。民間療法として伝わる様々な植物の効能を一覧できるようにした標本では、市民の方の生き生きとした植物への知識や反応を得る。そのリサーチの過程で、多くの薬草が含有しているアルカロイドという毒素に気づき、人間以外の動植物の毒との共存による生存競争への挑戦を 新しい作品シリーズに制作。歴史上、人間の権力の象徴として 15~18 世紀に流行した自然物の混在する珍奇を求めた コレクションである驚異の部屋を、人間からの欲望の視点ではなく、自然からの共存の視点から作るとどうなるか? この” 自然のための驚異の部屋” というコンセプトは 2013 年から継続的に制作しているもので、2015 年はこの アルカロイドの生物毒に注目した、トリカブト・オダマキ・タイツリソウなどの植物から、フグやウスバシロチョウ、 中之条でも渡りが有名なアサギマダラなどをモチーフにインスタレーションを制作した。もう一つの部屋では、その 毒の効力が過ぎると、最も簡単に命を失うのが他ならぬ人間でもあり、そのギリギリの調整で医学が発展して来た事、 そして病への呪術的な治癒の信仰と綯い交ぜになった江戸時代の医学と医学者だった湯本家の先祖へのオマージュを込めて、病よけとして魔除けとして信じられていた赤を基調にした有毒植物をモチーフとしたインスタレーションを 行った。
meta-species Variation
2018
展覧会:Art Meets 05 / 菊池敏正・馬場恵展
https://www.artsmaebashi.jp/?p=10485
会期:2018年3月19日~5月29日
中堅作家2名のノミネートで開催されるアーツ前橋のArt Meets 05に学芸員:吉田成志さんのキュレーションで参加。「自然を捉える表現」をテーマに、自然物の克明な描写や数理模型から自身の独自の造形を木彫の伝統的技法を用いて表現する菊池さんの作品。そして、過去10年にわたって継続して来た馬場の自然観察をベースに制作した植物の擬態や進化、突然変異をテーマにした標本や版画の作品が展示されました。新作として制作展示した、2012年からイギリスでリサーチを続ける野生蘭:アーリー・スパイダー・オーキッドの多様な姿を標本化した作品。
Cycle of Light
2019
展覧会:Art Science Exhibits Berlin 展覧会参加
ドイツ・ベルリン Eco-connectivity
フンボルト大学科学図書館/大学ホール
イタリア・ベネチアEquiliblium Exhibition
Palazzo Albrizzi-Capello
会期:2018年11月1日~2019年1月10日
2019年6月1日〜8月1日
2018年ドイツ:ベルリン、2019年イタリア:ベネチアにて、Art Science Exhibits Berlinとのプロジェクトに参加。2018年は、ベルリン市内のScience week 2018内のイベントとして” Eco-connectivity”展、フンボルト大学科学図書館と大学ホールにて作品を展示。2019年は、ベネチア・ビエンナーレ公式会場の入るPalazzo Albrizzi-Capello にて"Equiliblium Exhibition"展に参加。科学とアートの恊働、様々な環境問題や自然と人間の共存などをテーマに制作する作家や研究者を結ぶ活動をしているNPO主催の活動に参加しています。
参加作品:インスタレーション
2018年ベルリン: Symbiosis / Prayer
2015年中之条ビエンナーレ参加作品。
https://www.artscienceexhibits.com/humboldt-universitaumlt-zu-berlin-fallwinter-2018.html
2019年ベネチア:meta-species / Cycle of Light
光合成や養分の分解を介した自然界の日光の円環を、緑の葉から菌類やバクテリアなどのモチーフの色と形態が変化するスクリーンの連なりで表現した作品。
https://www.artscienceexhibits.com/venice-biennale-2019.html
Cycle of Light/ umwelt – 光をめぐる環世界ー 2022
展覧会:"不自然(マンメイドな)植物”展・角川武蔵野ミュージアム・ 荒俣ワンダー秘宝館/所沢市、埼玉県 "manmade plants"exhibition, Kadokawa Culture Museum, Saitama, Japan 会期:2022年1月22日~2022年7月31日
2019年にイタリア・ベネチア にて"Equiliblium Exhibition"展に参加して以来、コロナ禍を通じて制作を継続していた光合成をテーマにした作品で、進化の過程で光合成をやめて生きることを選んだ菌従属栄養植物をモチーフに発表しました。
光合成のための葉緑素もいらない、日を受けるための葉もいらない、豊かな森の栄養に満ちた環境の薄暗がりに生きる姿は、植物なのか?これは?と誰もが謎に思うような、鮮やかな砂糖菓子のような色や攻撃的に尖った形をしています。近縁種の菌従属栄養植物同志を1つの球体に集めて、それぞれの進化の戦略が作り出した姿の方向性を感じることで、光をめぐる環世界を体験してもらいたいと考えました。破天荒で嬉々とした生命たちの姿は、全て固有の色と形に忠実に製作し、その存在の多くが絶滅危惧種であることも内包する繊細さを表現しました。
Cycle of Light / subsurface –光の円環/地下ー
2023
展覧会: metaspecies / Cycle of Light - subsurface-,
HOWHOUSE gallery-R, Tokyo
会期:2023年5月19日~2023年5月28日
光合成をテーマにした作品の3作目。昨年の”不自然な植物展”で発表した光合成をやめて生きることを選んだ菌従属栄養植物の地上部の姿から、今回は地下で菌根菌と共生するダイナミックな自然の脈動をモノクロの世界で表現しました。
近縁種の特定の環境に生息する菌従属栄養植物は1種類もしくは数種の決まった菌従属栄養植物との共生関係を結んでいます。根の細胞に入り込み、渾然一体となったかのような形で栄養を奪い奪われる共生関係は、どこまでが一個体なのか?どこがひとつの生命なのか?もどちらでも良くなってくるような流動性を持って、深淵で大きなうねりの様に森林の地下に広がっています。未だ未知の領域も多い地下の土壌の世界と地上の命の煌めきのつながりを、驚異の部屋をイメージした個性的なギャラリー空間で再現しました。